混合型肝癌、細胆管細胞癌、Cytokeratin19陽性肝細胞癌、SOX9陽性肝細胞癌の網羅的DNA変異解析

近年、遺伝子解析研究の進歩により、様々な悪性腫瘍(がん)において発癌のメカニズムやターゲットとなる遺伝子異常が解明されつつあります。中でも治療に反応しないタイプのがんは「癌幹細胞」と呼ばれる細胞が増殖した結果生じるものとも考えられ、癌幹細胞を同定していくことはがんの治療成績を上げるためにも必要なことと考えられています。
これまで我々のグループでは、サイトケラチン19 (CK19) やSOX9が肝細胞癌における新規癌幹細胞マーカーであり、TGFb受容体1阻害薬という分子標的治療薬による新規治療標的となり得ることを報告してきました。それ以外にも混合型肝癌や細胆管細胞癌という、原発性肝癌の中でも幹細胞性質を持つとされる肝癌があり、これらに共通する遺伝子変異をつきとめることができれば、癌幹細胞がどのような遺伝子変異をもったものであるのか、そこからどのようにして癌が進展していくのかをつきとめることができるのではないかと考えています。また、病気を引き起こす遺伝子異常が見つかれば診断がより確実になり、早期診断や場合によっては予防的措置を講じることができることもあります。
対象は、京大病院において2007年1月から2017年12月に原発性肝癌に対して手術を施行した症例(620例)です。ただし、本研究参加への不同意があった症例は除きます。まず、手術で摘出した標本の癌の部分、癌ではない部分からそれぞれDNAもしくはRNAを抽出し、その部分に含まれている遺伝子情報を解析します。また入院時に採取された血液からDNAもしくはRNAを抽出し、その部分に含まれている遺伝子情報を解析します。この一連の作業は外部の業者(北海道システム・サイエンス株式会社)に委託して行いますが、その際はあなたの試料には住所や氏名など個人が特定できる情報は削除し新しく符号をつけた状態で外部業者に試料を引き渡し、解析を行いますので、外部業者が誰の試料を解析しているかはわかりません。
また、すでに記録されている診療記録から、性別、年齢、身長、体重、手術歴、肝動脈注入化学療法・全身化学療法などの術前後治療歴、血液生化学検査(AST, ALT, T-bil, Alb, PT(INR)等)、血小板数、腫瘍マーカー(AFP, PIVKA-II, CEA, CA19-9等)、肝炎ウイルスマーカー、ICG15分値、Child-Pugh分類、手術時間、出血量、輸血の有無、術後合併症の種類と程度、周術期化学療法の有無、在院日数等の周術期成績、腫瘍数、腫瘍径、ステージ分類、組織型、臨床病理学/組織学的因子、全生存期間、無再発生存期間、再発時の治療歴に関する情報を抽出し、これらの情報を合わせて解析を行います。
これらの研究は、すでに記録されている診療記録、および同意を得て保存している検体より得られた情報を利用して行うため、対象となる患者さんにあらたなご負担をおかけすることはなく、また、患者さんのプライバシーは十分に尊重され、個人情報(お名前など)が外部に公表されることはありません。
遺伝子解析結果をあなたにお知らせすることについて:現時点では今回の研究対象となる遺伝子情報は病気や健康状態等を評価するうえでの精度や確実性が十分ではなく、お知らせすることによりあなたや血縁者に精神的負担や誤解を与えるおそれがありますので、結果はお知らせいたしません。その一方で、研究の過程において当初は想定していなかった提供者及び血縁者の生命に重大な影響を与える偶発的所見が発見された場合においては、個人情報の保護に関する法律、その他の法令、ならびに「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に基づいて対応します。
知的財産権が生じたとき:遺伝子解析の成果として特許権などの知的財産権が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関、および研究者に属し、試料提供者であるあなたには属しません。
遺伝子解析の費用について:この臨床研究は、公的研究費である学術研究助成基金助成金により実施します。また、本研究は、特定の企業からの資金提供を受けておりません。利益相反については、「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規程」に従い、「京都大学臨床研究利益相反審査委員会」において適切に審査・管理しています。
このように当研究における遺伝子解析は研究費によって行われますので、検査にかかる費用をあなたが払う必要はありません。しかし、遺伝子解析の結果により、新たな検査や治療が必要となったときには、一般診療と同様の個人負担となります。
研究責任者の氏名 
実施責任者:石井 隆道    肝胆膵・移植外科 助教 
分担研究者:上本 伸二 肝胆膵・移植外科 教授,福光 剣    肝胆膵・移植外科 助教,小木曾 聡 肝胆膵・移植外科 助教,河合 隆之 肝胆膵・移植外科 客員研究員,川本 浩史 肝胆膵・移植外科 大学院生
当研究に関する問合せ先
京都大学 肝胆膵・移植外科 資料室
電話:075-751-4323  メール:shiryou@kuhp.kyoto-u.ac.jp
京都大学医学部附属病院 相談支援センター
電話:075-751-4748  メール:ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp