楊 知明先生の論文 (責任著者: 楊 知明先生) が発表されました。

当科 助教の楊 知明先生の論文がInternational Journal of Clinical Oncology誌に発表されました。

Yoh T, Ito T, Ogiso S, Uchida Y, Ishii T, Hatano E. Refining the role of liver transplantation as a curative treatment for hepatocellular carcinoma. Int J Clin Oncol. 2025 Oct 14. doi: 10.1007/s10147-025-02898-9. Epub ahead of print. PMID: 41085608.

肝切除(LR)および肝移植(LT)は、肝細胞癌(HCC)に対する確立された「根治的」治療法であり、それぞれに利点と限界があります。LRは肝機能が保たれている患者に広く受け入れられていますが、術後の肝不全発症リスクや比較的高い再発率によって、その有効性が制限されています。一方、LTは腫瘍そのものだけでなく、基礎肝疾患も同時に治癒し得る包括的な治療ですが、ドナー不足、免疫抑制に伴う合併症、周術期リスクなどにより、その臨床応用は限られています。近年では、周術期管理や免疫抑制療法の進歩によりLTの治療成績が向上しており、HCC治療におけるその役割が再評価されつつあります。

本レビューでは、複数腫瘍、門脈圧亢進、Child-Pugh B肝硬変、高齢者といった「境界症例」に焦点を当て、これらの患者におけるLRの有用性を考慮しつつ、LTの位置づけを再定義することを目的としています。治療方針は、個々の症例に応じてリスクとベネフィットを慎重に評価したうえで決定すべきですが、可能な限りLTをHCCに対する根治的治療として検討することが望ましいと考えます。

ドナー臓器の倫理的かつ最適な利用を確保しながら、HCC治療アルゴリズムにおけるLTの役割を拡大することは、選択された患者群において治癒率および長期生存率の向上につながる可能性があります。

ぜひご一読のほどよろしくお願いいたします!