北野病院 河合隆之先生の論文が発表されました (京都大学関連施設のデータを用いた多施設共同研究)

当教室員であり、現在北野病院で勤務されている河合隆之先生の論文が発表されました。本論文は京都大学および関連病院のデータを用いた、大腸癌肝転移に対する肝切除法と予後に関する多施設共同後向き研究になります。

要旨
大腸癌肝転移に対する有効な治療法である肝切除には、門脈に代表される血流分布に沿って肝臓を切除する解剖学的切除という方法と、病変が含まれた肝臓をくり抜くように切除する非解剖学的切除という方法があります。本研究では、大腸癌肝転移に対する肝切除症例(京都大学および関連病院計8施設、639症例)における肝切除法と予後の関係をKRAS遺伝子変異の有無別に調査した結果、肝切除後の肝外転移再発の頻度が高いKRAS変異型群では解剖学的切除による肝臓局所制御の予後改善効果は限定的であるのに対し肝外転移再発の頻度が低いKRAS野生型群では解剖学的切除症例が非解剖学的切除に比べ有意に術後予後が良好であり、KRAS野生型群では無再発生存・肝内無再発生存・全生存のいずれにおいても解剖学的切除による肝臓局所制御が独立予後改善因子となることを示しています。

 

Kawai T, Ishii T, Uchida Y, Sato A, Naito S, Kitaguchi K, Komatsubara T, Nakamura I, Ogiso S, Fukumitsu K, Seo S, Fujikawa T, Yasuchika K, Hirose T, Zaima M, Taura K, Hatano E, Terajima H. Impact of anatomical liver resection on patient survival in KRAS-wild-type colorectal liver metastasis: A multicenter retrospective study. Surgery. 2022 Aug 11:S0039-6060(22)00361-0. doi: 10.1016/j.surg.2022.05.014. Epub ahead of print. PMID: 35965146

 

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