笠井 洋祐先生の論文が(責任著者:伊藤 孝司先生)がオンライン掲載されました。

笠井 洋祐先生(現、京都桂病院消化器センター・外科 副部長)の神経内分泌腫瘍肝転移に対する生体肝移植に関するレビュー論文(責任著者:伊藤 孝司先生)がJournal of Gastroenterology誌にオンライン掲載されました
Liver transplantation for gastroenteropancreatic neuroendocrine liver metastasis: optimal patient selection and perioperative management in the era of multimodal treatments

神経内分泌腫瘍(NEN)肝転移は切除により5年生存率70-80%と良好な予後が報告されていますが、残肝を中心とする再発はほぼ必発です。NEN肝転移に対する肝移植は微小肝転移を含めた全肝摘出により治癒を図るというコンセプトのもと、欧米では古くから施行されてきましたが、従来5年生存率50%前後とリスクに見合った成績は得られておりませんでした。2007年にNEN肝転移に対する肝移植のMilan基準が提唱され、Milan基準を満たす症例の肝移植成績は極めて良好であることが示されています。

本論文では日本肝移植学会レジストリデータから、わが国でNEN肝転移に対して生体肝移植を施行された16例の成績を示し、問題点を明らかにした上でその解決法を検証しました。とりわけ、近年開発が進むペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)を含めた集学的治療を肝移植前の橋渡し治療に据え、Milan基準を遵守することで、肝移植はより治癒を期待できる治療法になりうることを示しました
この知見に基づき、今後当科でもNEN肝転移に対する生体肝移植を実施していく予定です。