教室コラム#4 『”One for all  All for one” アゲイン』

今年もラグビーの冬が到来しました。ラグビーと言えば?という質問に最近の学生は「One Taem」と答えます。理由は日本で開催されたラグビーワールドカップ2019の際、日本代表チームのスローガンが「One Taem」であったこと、加えてその年の『新語・流行語大賞』で年間大賞に選出されたことが要因であると思われます。その後、この言葉は社会に広く浸透し、ビジネスや教育の世界でも「全員の力を合わせて一丸となってやり遂げる」といった意味で用いられています。

しかし、我々「スクールウォーズ」世代に同じ質問をすると、ほとんどの人が「One for all  All for one」 と答えるはずです。この言葉もラグビーのチームプレイ精神を表す言葉として使われますが、通常「1人はみんなのために、みんなは1人のために」と訳されます。実は私も数年前に最も尊敬するラガーマンの講演を聞くまでそう理解していました。その元日本代表選手は講演の中で、「All for one」のoneは「みんな」ではなく「Victory」だと話されていました。この話を聴講したとき、全身に稲妻が走るような衝撃を受け、「ですよね」と深く同意したのを記憶しています。私も大学時代ラグビー部に所属し6回神鍋高原に行きました(西医体はラグビーだけ常に神鍋高原!!!)。選手時代は、ものすごく怖い先輩と言うこと聞かない後輩に挟まれ、タックルされると痛いし、練習しんどいし、スクラム臭いし、西医体は7月なんで脱水で意識もうろうやし、「みんなは1人のために」なわけないやろと思っていましたが、「みんなは勝利のために」と言われるとすべてのマイナスが打ち消されます。おそらくすべてのラガーマンが同じ気持ちであると確信します。

ラグビーはよくできたスポーツです。バックスがノックオンするとフォワードがスクラムでしんどい思いをしますし、フォワードがスクラムで押されるとディフェンスラインが下がりバックスがしんどい思いをします。なので勝利が掴めなかった時は、お互いに「しっかりせえや」と喧嘩になりますが、勝利を掴んだ時は抱き合って喜びを分かち合います。

これって外科病棟と似ていませんか?外科病棟では外科医と看護師が「One Taem」で患者さんの治癒を目指して各々の役割に全力を注ぎます。私も若かりし頃は、考え方の違いから担当看護師と詰所で意見を戦わせるブリザードを巻き起こし、患者さんに注意されることがしばしばありました。しかし、患者さんが退院の日にはノーサイドで一緒に喜びを分かち合う、これぞ外科の醍醐味!

生まれ変わっても外科医になるぞ!!!

「One for all  All for one」アゲイン

 

2022年2月6日瀬尾 智