患者さんの希望を支える知識と技術とハート

2021年4月1日付で京都大学肝胆膵・移植外科の教授を拝命いたしました。皆様よろしくお願いいたします。

京都大学の外科の大先輩には、肝胆膵外科に多くの業績を残された本庄一夫先生がおられます。

弱冠35歳の1949年に世界初の系統的肝右葉切除術を22歳の転移性肝癌の患者さんに施行されました。

その後の京都大学の外科には、「限界を打破する」というスピリットがあるように思います。私は小澤先生、山岡先生、田中先生、上本先生に師事してきましたが、私が学んだのは・・・

  • 「できるものを簡単にあきらめていないか?」
  • 「勝手に限界を作っていないか?」

と自問自答しながら限界に挑戦するという姿勢です。

今回、京都大学肝胆膵・移植外科の教授を拝命し、「患者さんの希望を支える知識と技術とハート」を理念として、iPSの山中教授のモットーの「Vision」「Hard Work」に加えてこの時代だからこそ「Communication」をキーワードに、新たな「京都大学肝胆膵・移植外科」を引っ張っていきたいと思っています。

よろしくご指導のほどお願い申し上げます。

On April 1st 2021, I was appointed as a full professor of Division of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery and Transplantation, Department of Surgery, Graduate School of Medicine, Kyoto University. In Department of Surgery, Kyoto University, Prof. Honjo, Prof. Ozawa, Prof. Yamaoka, Prof. Tanaka, and Prof. Uemoto have been trying to overcome many difficulties. We will continue to work hard with clear vision and to engage in communication with people.

I would like to contribute sincerely to the future of the Department of Surgery, Kyoto University.

京都大学 肝胆膵・移植外科/小児外科 教授
波多野 悦

 

肝胆膵外科学の発展に貢献された本庄先生

肝胆膵外科を中心とした多くの業績を残された本庄教授は、肝胆膵外科の発展に大きく貢献された。

小倉記念病院時代において、弱冠35歳の昭和24(1949)年に、腰椎麻酔下で世界初の系統的肝右葉切除術を施行し、また同年には、本邦初の膵全的術を施行した。

当初は、肝門部脈管処理を行った系統的肝右葉切除の最初の報告者は、1952年フランスのLortat Jacob と Robert であるとされてきたが、昭和52(1977)年に発刊された “Solid Liver Tumors” のなかで、著書FosterとBermanは『術後1年以上の経過観察後、挿話28(1953)年に投稿された昭和30(1955)年に発刊された Honjo と Araki の症例にPriorityがある』と記しており、本庄一夫先生の系統的肝右葉手術を事実上の世界初として認めている。