はじめに
京都大学附属病院では2006年4月から診療科として小児外科が新設されました。
元来、当院における小児外科は外科の一部として長い歴史をもっていますが、1996年4月に旧移植外科が開設されると共に小児肝移植症例にその診療の重点が移行しました。
診療科としての新設を機会に、小児肝移植以外の小児外科疾患に取り組むべく、整備を進めています。
2010年に当院の新生児集中治療室(NICU)が改装し増床されたこともあり、今後、新生児外科領域の更なる充実を図れると考えています。
現在、当科では旧移植外科からの流れを受けて小児生体肝移植術を中心に脳死肝移植や小腸移植といった移植医療を多く行っています。
重症肝疾患(胆道閉鎖症、アラジール症候群、Byler病、胆道拡張症など)を扱うことも多く、その他、近年では、新生児症例や腹腔鏡症例も多く扱うようになりました。
また小児固形腫瘍に関しては小児科との協力のもと、神経芽細胞腫、腎芽腫(Wilms腫瘍)、肝芽腫、横紋筋肉腫などに対し集学的治療が可能であり、特に肝芽腫に対しては肝移植も念頭に置きながら幅広い治療を行っています。
さらに当院の特長のひとつとして中央手術室から独立した日帰り手術室(デイサージャリー室)を持つことが上げられます。
小児においては多くの手術や検査で全身麻酔が必要となりますが、低侵襲な手技であれば日帰りが可能となります。
日帰り手術室では、麻酔がかかるまで家族といっしょにいられるよう配慮され、処置終了後は十分な覚醒を待って問題がないことを確認したうえで当日帰宅するという、比較的簡便でかつ、安全な医療に努めています。
スタッフ
- 岡本竜弥:助教
- 小川絵里:助教
対象疾患
移植関係
- 生体肝移植術
- 胆道閉鎖症、肝芽腫、各種胆汁鬱滞性肝硬変、代謝疾患など
- 小腸移植術
- 短腸症候群・小腸機能不全など
新生児疾患
- 臍帯ヘルニア
- 腹壁破裂
- 先天性横隔膜ヘルニア
- 先天性食道閉鎖症
- 十二指腸閉鎖症・狭窄症
- 小腸閉鎖症・狭窄症
- 腸回転異常症
- 新生児壊死性腸炎
- 直腸肛門奇形など
腫瘍疾患
- 神経芽腫
- 肝芽腫
- 腎芽腫(Wilms腫瘍)
- 横紋筋肉腫
- 奇形腫など
肝胆膵脾疾患
- 先天性胆道閉鎖症
- 先天性胆道拡張症
- 胆石症
- 慢性膵炎
- 先天性高インシュリン血症局在型
- 遺伝性球状赤血球症など
消化器系疾患
- 胃食道逆流症
- 肥厚性幽門狭窄症
- メッケル憩室
- 腸管重複症
- 腸重積症
- 虫垂炎
- ヒルシュスプルング病
- 直腸肛門奇形など
その他
- 喉頭機能不全
- 摂食障害など
日帰り手術室対象疾患
- 鼠径ヘルニア
- 臍ヘルニア
- 停留精巣
- 毛巣洞
- 各種腫瘤切除・生検
- カテーテル留置
- 移植後肝生検
- 内視鏡処置など
お問合せ
肝移植、小腸移植とも下記にご連絡して下さい。
- 移植情報室(平日10:00~18:00)
- Tel:075-751-3243(4885)
- Fax:075-751-3245
- 小児病棟(時間外、休日)
- Tel:075−751-3297(3298)
- 肝移植ガイドブックはこちら:肝移植のためのガイドブック